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市長インタビュー 新市制誕生20周年を迎えて

市政20周年記念 臂市長インタビュー

地方都市のモデルになる伊勢崎を一緒につくっていきましょう


伊勢崎市、赤堀町、東村、境町の4市町村が合併し、新しく人口20万人の新たな市として生まれ変わった伊勢崎市。来年1月1日には、新市誕生20年を迎えます。この20年で変わったことは? 課題は? 市民にのぞむことは? 「あいちゃん」が臂市長に聞きました。

 



■合併の効果が顕著な伊勢崎はニッポンのモデル

 

――市政20周年を迎えた今のお気持ちをお聞かせください

合併前の旧伊勢崎市、赤堀町、東村、境町の首長や、それぞれまちづくりに関わってきた方々、住民の皆さん、それぞれの行動があって20周年を迎えることができました。

 

皆さん、合併が今後の発展につながるという期待感を持っていたと思います。もちろん、合併にあたってさまざまなハードルがありました。それを飛び越えられたのは、市民の皆さんの熱量があったからです。市民の熱なくして合併はあり得ませんでした。改めて皆さんに感謝しています。

 

 

――合併にあたって伊勢崎ならではの特徴は?

1999年から2010年まで全国各地で行われた平成の大合併。これにより、全国の市町村数は3232から1727になりました。この中でも伊勢崎市の合併は、モデルになるものだったと思います。

 

というのは、合併した市町村が隣接していて、なおかつ合併以前も消防や農業など広域的な連携をしていました。伊勢崎・佐波地区というくくりの中で、今まで関わった市町村が無理のない自然なかたちで手をつなぐことができました。最も効果的な、まさに見本といえる合併だと感じています。

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■課題は土地の適正利用、多文化共生、災害対策



――合併で変わったと実感できることは何ですか?

目に見えて分かるのは、施設の統廃合です。2025(令和7)年4月から新しい保健センターが稼働します。当初は比較的新しい赤堀地区の保健センターを残し、旧伊勢崎、あずま、境のセンターを統合するという計画でした。しかし、これからの行政を進める中では、機能を集約していくべきと考え、赤堀も統合することになりました。今後も合併の成果をより強く出すためには、組織としてのダウンサイジングを進め、費用対効果を高めていく必要があるでしょう。

 

 

――合併によって生まれた伊勢崎市の新たな魅力は何だと思いますか?

人口20万という規模になったことで生まれた発展性です。20万人という数は、これからの地方を考えていく中で標準的なサイズです。今後、予算を組んで国や県、住民の皆さんと連携しながら何かをやっていくのに基本になる人口だと思います。

 

また、特に伊勢崎市は、約140平方キロメートルという土地の中に山がありません。どこにでも人が住め、建物が建てられる地形は、今後さらなる発展が望めます。この魅力をしっかり伸ばすことが、今後の政策の中では大事になってくると考えています。

 

 

――新たな魅力が生まれる一方で課題もあると思います。伊勢崎市が抱えている課題の中で現在、力を入れて取り組んでいることは何ですか?

 

大きく分けて3つあります。まずは、土地の適正化。これは伊勢崎市に限ったことではなく、どの市町村も抱えている悩みです。先日、群馬県の市長会で各市長と話す機会がありましたが、共通する課題でした。

 

事業拡張を望むメーカーや流通系の会社は多いのですが、すぐに土地を提供することは難しいのが現状です。今まで農地だったところを産業用に変えるのはハードルが高いんですね。

そこで、農業をできなくするということでなく、農地の機能を高めて生産効率を上げる仕組みを考えることも必要です。例えば、今まで100の面積で作っていたところを、80で同じだけの収量が取れるようにし、もちろん新規就農者もしっかりと収入が得られるような形をとりながら、集約して空いた土地を産業として活用するというようにして、土地利用の適正化を図っていくことは大きな意味があると思います。

 

 

――二つ目は何でしょう?

外国籍の方と一緒に住まう社会をつくっていく多文化共生です。伊勢崎市は外国籍の方が多く、1万6000人以上が住んでいます。その国籍はおよそ70カ国と多国籍であることが特徴です。先日、日本語学校の生徒さんたちが駅前で地域の方と一緒にゴミ拾いに参加している光景を目にし、素晴らしいと思いました。

 

外国籍の方には日本の歴史や文化、生活上のルールなどを覚えてもらう必要がありますが、私たちも外国の文化を学び、お互い理解し合って共生することが大切です。実は市内の中学生と話したとき、中学生がこう言ったんですね。「私たちが外国籍の子と同じ教室で一緒に勉強できるのが伊勢崎市のすごく良いところ。日本人は外国の文化をもっと知るべき」と。まさしく中学生に教えられました。「郷に入っては郷に従え」を通すのではなく、歩み寄って相互の理解を深めることが共生には欠かせないと実感しました。

 

――中学生、頼もしいですね! 三つ目は何ですか?

災害への備えです。伊勢崎市は、災害発生時や災害の恐れがあったとき、迅速で的確な対応ができるよう、他の地方公共団体や民間団体などと協力協定を締結しています。情報発信に関しては、コミュニティーFMと協定を結びました。また、災害時に避難所となる小中学校の体育館には、来年中に全てエアコンを設置され、併せてハザードマップも改訂を重ね、インターネットでも紙ベースでも見られるようになっています。

 

今後は、実際に災害が起きた時、個人がどう動けばいいのかという意識を高めていく必要があります。また、福祉的な対応ができる避難所設置や避難困難者への対応なども進めたいと考えています。

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■市民と行政、行動を共にし、真のモデル都市に


――目指すまちづくりについて教えてください。

伊勢崎市のスローガンは「えがお咲く未来へ 持続可能な共?都市 いせさき」です。えがおというのは、心も体も健康なウェルビーイングや体験を通して得る豊かさの象徴です。人口が大きく極端に減ることのないようさまざまな政策を立てながら、持続可能な多文化の共生都市を目指していくことが、伊勢崎市の目指すまちづくりそのものになると考えています。

 

 

――市内の中学を卒業し、市外の高校に進学する生徒がいます。市内の高校を魅力あるものにするための計画があれば教えてください。

伊勢崎市内の中学校を卒業する子どもたちが年間2000人前後。市内の高校で、その全員受け入れるだけのキャパシティは市内の高校にはありませんから、必然的に市外に流れざるを得ないのですが、やはり市外の高校に進学する中学生は多いといえます。伊勢崎市内の高校は、どこも魅力ある取り組みをしていますが、それがうまく市民、特に保護者のみなさまに伝わっていないもどかしさを感じています。

 

これは企業も同じで、市内には高い技術を持つ会社や他にはない特徴ある会社がたくさんあります。このような魅力は、子どもたちが一度は市外や県外に出たとしても伊勢崎市に戻ってくる引力になります。行政として積極的に情報提供する必要がありますね。

 

――大学は上武大学と東京福祉大学がありますね。連携や学生の就職先としての受け皿の拡充計画はありますか?

 

市内の大学には、地方が元気になるのに欠かせないビジネス学科、今後ますます需要が高まる看護や福祉の学科、ウェルビーイングに関わる心理学を学べる学科があり、今後、社会に求められる学びを深めたいという学生が集まっています。

 

現在、上武大学の野球部には中学生の部活指導や市のイベントへの出場、駅伝部にはシティマラソンへの参加などいろいろな形で関わってもらっています。今後は、大学としてのアカデミックな学びの部分で連携をお願いできるといいですね。

 

また、高齢者福祉や介護について東京福祉大学、まちなかの活性化について上武大学と、各大学の先生方と学生さんに研究していただけたらありがたいと思います。ほかにも群馬大学や近隣の理系の大学との連携も必要になってくると思いますので、市としてマッチングに取り組みたいですね。

 

 

――市民に意識してほしいことや取り組んでほしいことは? 

繰り返しになりますが、伊勢崎は人口20万人都市で、行政と住民が関わり合うのにちょうどいい規模です。官民連携がスムーズに進むような取り組みが、まちづくりの大きな柱になってきています。

 

市民の皆さんにお願いしたいのは、次の二つです。一つは、さまざまな意見をぜひおっしゃっていただきたいということです。市では、町内の区長さんや教育機関などを通じて意見が吸い上げられる体制を整えています。もう一つは、何かをするときに一緒に行動をしていただきたいということです。これが本当の官民連携につながると思います。

 

共に手を取り合い、20万都市である伊勢崎ならではの利点を生かして、日本のモデル都市を目指してゆきましょう。

 

取材日:2024年10月

 

 

 


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