経営者の輪Vol.383 有限会社須田設備工業の取締役 須田靖浩さん
経営者の輪Vol.383 有限会社須田設備工業の取締役 須田靖浩さん
今回、お話を伺うのは、有限会社須田設備工業の取締役 須田靖浩さん。今のお仕事に就くようになった経緯ややりがい、貴重なお宝などについて伺いました。
バイクメーカーか? 須田設備工業か?
胸元に「sudapon」とプリントされたウインドブレーカーを羽織って現れたのは、水道工事のお仕事に携わる有限会社須田設備工業の須田靖浩さん。水道の配管に携わっていた会社は、かつて社名に「ポンプ」と入れる会社が多かったそう。同社も旧社名は「須田ポンプ工業所」で、周りから「スダポン」と呼ばれていました。会社の通称でもありましたが、須田さんの愛称でもあります。小さいころから「スダポンの息子」⇒「スダポン」「ポンちゃん」などと呼ばれていたのだそうです。みんなから親しまれているこの呼び名をロゴマークに。社用車にもこのマークがついているのだそうです。
同社を創業したのは、須田さんのおじいさま。その後、お父さまが跡を継ぎました。会社とご自宅は同じ敷地内にありましたが、お父さまは現場に出ていたり社外の付き合いをしたりしていてお忙しく、社内にいることは少なかったと言います。それでも、子ども好きのお父さまは小学校のPTAの役員や育成会の会長などを進んで買って出ていました。校内のセレモニーでは挨拶をし、夏休みのラジオ体操では前に出てみんなのお手本に、上毛かるたの練習では読み手と、子どもたちの成長に積極的に関わってくれたそう。しかし当時の須田さんは、この時期の子どもの多くがそうであるように、親が目立つことを気恥しく感じていました。「今思えば、あれだけ忙しい中、時間を作ってくれて本当にありがたいこと」と振り返ります。
幼少期から元気いっぱいだった須田さん。小学校に入ると野球を始めますが「ユニフォームを着ると遊びに行きたくなってしまう子どもだった」そう(爆笑)。友達が迎えに来たときには既に遊びに出かけていたと言います。
そんな須田さんが変わったのは、サッカーとの出会い。不思議なことにサッカーは、練習着に着替えても他所に出かけて行きたくなることはなく、熱心に練習に参加しました。仲間と連携して得点を重ねるのが楽しく、中学高校に入学後もサッカー部に入部。高校でもサッカー部に入りますが、ここで立ち打ちできないほど、上手なメンバーに出会って断念したと言います。
サッカーを離れるころ、心を奪われたのがモータースポーツ。テレビでF1やWGPを見ることを楽しみにしていました。発売日になると、本屋さんがモータースポーツの雑誌を届けてくれるほど、熱心だったそうです。
メカニックに興味があった須田さんは、群馬大学工学部機械システム工学科に進学。将来はバイクのメーカーに就職したいと考えていました。ところが、当時は就職氷河期。求人は少なく、希望をした会社への入社は例年以上に狭き門となっていました。
それまでご両親から跡を継いで欲しいとひと言も言われたことがありませんでしたが、本心を感じ取っていたという須田さん。「バイクメーカーに受かったらそのメーカーに進む。叶わなかったら家業を継ぐ」とご両親に話したそうです。一番の希望は通らず、公言通り須田設備工業に入社。翌年には職業訓練校に入学し、仕事が終わってから毎晩、訓練校に通って勉強を続け、必要な技術を身につけました。ちなみに、2004年に卒業した後は同校で講師を務めて経験を通じて培った生きた知識と技術を教えているそうです。
営業マンなしで広がり、深まる仕事
事業に関する資格取得の関係で3年後に取締役に就任し、今に至ります。同社の強みは事業内容の幅の広さ。公共工事から一般住宅の給排水の配管を担っています。また、住宅のトイレ、浴室などの水回りリフォーム、洗面台・システムキッチン・給湯器の入れ替えまでお任せ。年間500~600もの案件を手掛けますが、その95%は伊勢崎市内なのだそう。
もうひとつの特徴は、営業マンがいないこと。会社に掲げられたカレンダーは、予定で真っ黒になるほど埋め尽くされていますが、ほとんど既存のお客さまからのご紹介や、仕事仲間から寄せられるものなのだそう。いかに信頼されているかが分かります。
やりがいは「良い仕事をしたね」と言われること。須田さんたちのお仕事は、完了すると見えなくなってしまうもの。「だからこそ、嘘はつけない」と感じているそうです。それだけに、隠れる前に須田さん達の仕事を目にする大工さん達から、前述のように声をかけられるのが「一番の喜び」と話します。
また、同社も加盟している伊勢崎管工設備協同組合は日替わりで漏水当番を決めており、24時間365日、市民の水を守ってくれています。須田さんたちの存在があるからこそ、私たちは安心して暮らすことができるんですね。心強く有難いですね!
そんな須田さんの転機は「群馬伊勢崎商工会青年部(GIS)に入ったこと」だそう。伊勢崎は、他地域から驚かれるほど群馬伊勢崎商工会青年部、伊勢崎商工会議所青年部(YEG)、伊勢崎青年会議所(JC)の三団体の仲が良い地域。GIS卒業後、YEGに入会して活動中。自然と仲間が増え「先輩たちについていくことで、今までにない経験をする機会にも恵まれました」とニッコリ。今年度は、伊勢崎で全国大会が開かれます。「成功に向けて尽力したい」と豊富を語ります。
兄弟で会社を盛り上げる
須田さんが入社して7年後に、弟の哲弥さんが入社。今では2人で力を合わせて、会社を盛り上げています。哲也さんは、伊勢崎市立あずま中学校でPTA会長を務めているそうです。(お父さまの血を引いている⁉)
そんなご兄弟が支える同社の社屋の東隣にある倉庫をよく見るとあることに気づきます。建物の脇面に「須田ポンプ工業所」と書かれているのです。ここに掲げられていた「有限会社須田設備工業」の看板が強風で外れたところ、前社名が表れたのだとか。「スダポン」は、ちゃんと生き続けていたんですね!
社屋前の駐車場には、ベンツの作業車が。「ウニモグ」と呼ばれる珍しいもので、今でもマニアから人気の車です。迫力がありながらデザイン性にも優れているこの車。良いものはいつの時代も新鮮な煌めきを放っているものなのだなぁ、と改めて思わせます。
別棟には、須田さんがコレクションしたさまざまなバイクがズラリ。今は乗車しないため、美しいボディを眺めるだけなのだとか。また、須田さんはファッションも大好きでTシャツ屋さんになりたいと考えていた時期もあったそうです。
もー、取材を終えてノートを閉じた途端、食いつきたくなるネタ満載じゃないですかー!! 2回目のご登場にこうご期待、ですね♪
そうそう、多趣味な須田さんが今、楽しみにしているのは「子どもの成長」。週末、スポーツの練習や試合で送り迎えをしながら共に過ごす時間を大切にしています。お子さんが大きくなったとき、この時間はかけがえのないものになっているはずです♪
企業情報
有限会社須田設備工業
◆住所/伊勢崎市田部井町1-930-1
◆TEL/0270-62-2349
◆創業/1948年
◆営業時間/8:30~17:30
◆休日/日曜、祝日、第2・4土曜
◆従業員数/8人
◆業務内容/①伊勢崎市、みどり市、太田市、桐生市 給水工事業者、②給排水・給湯・浄化槽・下水道・農集排設備工事、③管・水道施設・土木・舗装・とび・土木工事
取材日 2025年4月
有限会社須田設備工業のHPはこちら
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!
あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。
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