経営者の輪Vol.382 株式会社髙建の代表取締役 髙橋弘明さん

経営者の輪Vol.382 株式会社髙建の代表取締役 髙橋弘明さん

今回、お話を伺うのは、株式会社髙建(こうけん)の代表取締役 髙橋弘明さん。小学校時代から始め、今でも続けてる野球とソフトボール、自分の適職に出会うまで、心で結ばれた従業員さんとのお話を熱く語っていただきました。

プロフィール

髙橋 弘明(たかはし・ひろあき)さん

伊勢崎市出身

伊勢崎市在住

専門外の作業をする中で適職発見!?

事務所内のスケジュールボードに描かれたバットとグローブ。春夏出場! 甲子園!の文字。ひと目で野球に対する熱意を感じます。今ではお子さんたちが全員野球に関わり、髙橋さんは保護者会長を務めるという野球一家なのだそうです。

 

ご自身が本格的に野球を始めたのは小学校4年生のとき。それまでは、小さい頃から数え切れないほどの習いごとをしていました。スイミング、空手というスポーツ系から絵画、英会話、そろばん、書道という文科系のものまで幅広く経験したそう。それとは別に小学生になってからは、当時ソフトボールチームでピッチャーをやっていたお父さまのボールも受けていました。ほかの習いごとよりも野球に興味を持ち始めて、少年野球チームに入団。キャッチャーと外野手で早々にレギュラー入りしたそうです。中学時代も野球部で白球を追いかける毎日でした。

 

卒業後は、前橋工業・建築科に入学。同校は髙橋さんが小学生時代、2年連続甲子園に出場した強豪校です。ところが、野球部には入部しなかったそう。「坊主に抵抗があって。当時はモテたい気持ちが芽生えちゃったものだから」と照れ臭そうに笑います。

 

その代わり、というわけではありませんが、夢中になったのがアメ車。クラシックカーではなく、いまどきのアメ車です。ダイナミックさと力強さを兼ね備えた圧倒的な存在感は、10代半ばの髙橋さんを魅了させるのに十分でした。その熱を持ち続け、高校卒業後は自動車学校に入学。卒業後は、アメ車の販売や修理などを行う会社に入社し、主に車検を担当していました。

 

この会社の社長がユニークな人だったそう。鉄骨のショールームを作る際「自分たちにできることは自分たちでやろう」と、基礎工事や構造に関わる以外の多くを社員が担当したのです。アスファルトを打っているときに「面白い」と感じた髙橋さん。実は、おじいさまは建築業を営んでいて、髙橋さんと同じ前橋工業高校建築科出身なのだとか。おじいさまの血が受け継がれているんですね! 社長からも「うまいな。そっちの道の方が向いているんじゃないか」と腕をほめられました。職場で仕事以外の経験をする中で自分の適性に気づかされたのです。

 

そして、このタイミングで土木の会社に勤める友達から、入社を打診されたのです。

人生最大の転機、結婚

早速、舗装、下水、道路、河川と幅広く土木工事を手掛けている会社に転職。職人として新たなスタートを切りました。やればやるほど自分の技術が上がっていくことにやりがいを感じ、どんどんのめり込んでいきました。

 

髙橋さんは高校に入学したころから、自分の人生の青写真を描いていました。20歳で就職、25歳で結婚、30歳で独立。前倒しになる分には良し、と思っていたそうです。23歳のとき、「良し」とした前倒しされる出来事が起きます。後に、髙橋さんが「人生において最も大きな転機」と言う結婚でした。

 

当時、髙橋さんは社員といえども、お給料形態は日給。結婚前に奥様のお父さまから「大切な娘の日給の勤務で食べさせていけるのか」と詰め寄られるのです。自分の中で、いずれは親方~現場監督とステップアップしていきたいと考えていましたが、このひと言で漠然と描いていた目標が具体的にしかもぐっと前倒しされることになったのです。

 

結婚後は、仕事が終わると深夜1時過ぎまでアルバイト。土日は学校へ通って資格取得のための勉強と超ハードな毎日が始まりました。こうして25歳で施工管理技士の資格を取得。目標のひとつに掲げていた現場監督になるのです。

 

現場監督になってからは「経費、見積り、材料の発注、職人さんの手配など、全てを任せてもらえた」という髙橋さん。綿密な計画書を作って会社に提出、承認されてから動き始めます。最初は計画通りにいかず、赤字を出して叱られたこともあったそう。経験を重ねるうちに効率の良い方法や信頼できる発注先などを見極められるようになり、会社に貢献できることが大きくなっていきました。

 

これを評価してくれたのが勤務先の専務。「お前ならできる」と背中を押してくれたのです。髙橋さんの技術、やる気、人柄など全てを知り尽くした上で出てきた応援の言葉でした。

 

ホールディングスでみんなをハッピーに

2014年の独立後、間もなく2人の従業員を迎えますが、2人とも未経験者。このような背景もあり、組織にしたものの仕事はすべて髙橋さん個人への依頼でした。仕事を受けた髙橋さんがすべての現場に顔を出し、事務仕事も一人でする毎日。「組織としての機能は果たしていなかった」と振り返ります。

 

このままでは従業員にとっても自分にとっても良くないと考えた髙橋さん。面倒見のよい長男気質も手伝い、従業員の技術力をアップさせることを第一に注力し始めました。「自分と関わる人はみんなに幸せになってほしい」という心からの願いから「自分を信じて欲しい、だから俺はみんなを信じる!」と従業員に呼び掛け、技術の習得に集中できるよう支え続けました。

 

ところが今までに2度、辞めたいと言われたことがあったそう。そのうちの1度は、次に勤めたい会社名も告げられました。去るものは追わない主義の髙橋さんですが、大切な従業員のことになると面倒見の良さが発動。なんと、その会社のことを調べて社長に連絡をするのです。「うちの従業員が実は御社で働きたいと言っている。面倒を見てもらえないか」と。度肝を抜いたのはこの連絡をもらった相手先の会社です。戸惑いながらも「はい、わかりました」と了解したそう。そして従業員に「道筋はつけてきた。ただ今手がけている仕事は責任を持ってやり切ってほしい」と話しました。そう言われてビックリしている従業員に髙橋さんは「今の仕事をやりきるまでに、ウチで続けたいと思えば続ければ良いし、やっぱり心惹かれるのであればその会社に移ればよい」と判断を委ねたのだそう。

 

髙橋さんの大きな愛を知った従業員さんは同社に残って腕を上げ、今では右腕の1人になっています。

 

仕事を受ける時、自が突っ走って決めてくるのではなく、オファーのあった仕事を1度持ち帰って従業員に相談するのが髙橋さん流。やりたくないこと、キャパオーバーなことなどモチベーションが下がることをせざるを得なかった職人時代の経験があるから、同じ思いをさせたくないと思ったのです。納期、人手などをみんなで相談し、首を縦に振ったものに対しては、責任を持ってやり遂げる。これを重ねて今の高建があります。

 

今も同社の中心になって仕事を進めているのは、創業当時からの3人のメンバー。3つの三角が並んでいるように見える同社のロゴは、この3人の姿をモチーフにしているそうです。

 

夢は、みんなでできることを持ち寄ってホールディングス化すること。髙橋さんの周りには、年齢が近い1人親方がたくさんいるのだそうです。内装、大工、配管工事など。大抵が自分1人、または2~3人のコンパクトな体制をとっているところがほとんど。みんなの得意を持ち寄れば、自分1人ではできない大きな事業も手かけられます。こう考えるようになったのは、現場監督になって自分だけでは何もできないことに気づいた経験がベースにあります。ひとつひとつの経験が今に、未来に、つながっています。

 

ホールディングスの中には建築建設とは関係のないように思われる飲食業も含まれています。腕は良いのに、なかなか一歩が踏み出せない若い人がいることに気づき、その後押しができれば、と考えてのことです。また、飲食店ができることで、従業員たちが自分の台所として気軽に足を運び、心もお腹を満たされれば、福利厚生にもつながるというわけです。

 

40歳以降の計画は立てていなかったという髙橋さんですが「ホールディングスは、そうだなあ、50歳~55歳くらい。うん、この間にはカタチにしたい」とにこやかな笑顔で話してくださいました。

企業情報

株式会社髙建(こうけん)

 

◆住所/伊勢崎市上植木本町2705-4

◆TEL/0270-75-5354

◆創業/2014年

◆営業時間/8:30~17:30

◆休日/土曜、日曜

◆従業員数/5人

◆業務内容/一般土木工事・外構工事一式



取材日 2025年3月



株式会社髙建HPはこちら


応援します商売人!
今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ!

あのお店・会社のあの人を連載で御紹介します。
アイマップでは連載企画として、「応援します商売人!今こそフロンティアスピリッツを発揮せよ」と称し地域の企業人・オーナーさん達をご紹介していきます。 また次の方は、ご紹介を頂くという経営者の輪方式をとらせて頂きます(笑) この企画を通じて、少しでも地域の皆さんに地元のお店や企業、そしてそこで働く人達を知って頂ければ と思っています。またそれが僅かでも売上増やビジネスチャンスに繋がれば幸です。

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