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いせさきふらっと観光 『福島泰蔵大尉の墓』

過酷な雪中行軍で隊員を全員無事生還へと導いた大尉の墓所への旅

福島泰蔵大尉の墓
福島泰蔵大尉の墓
福智山 天人寺 

今回のいせさきふらっと観光は、境平塚の「天人寺」にある『福島泰蔵大尉の墓』をご紹介したいと思います♪

『福島泰蔵大尉の墓』は、伊勢崎市と埼玉県深谷市とをつなぐ「上武大橋」から西に約500m、利根川のほとりにある「天人寺」の一画に、その風景を愛おしんでいるかのように建てられています。

“福島泰蔵”という人物を知らない方も多いかもしれませんが、お墓の前には例幣使道まちづくり会議による説明板が設けられています。

 

福島泰蔵大尉の墓 説明板 

 

福島泰蔵大尉の墓

 福島泰蔵(1866〜1905)は、平塚の船問屋に生まれ、二十歳になって陸軍教導団に入隊し、その後、明治31年(1898)に大尉に任官しました。
 明治35年(1902)1月20日、彼の率いる弘前歩兵第31連隊37人は弘前を出発し、吹雪と極寒の八甲田連邦を、死傷者もなく11日間で踏破し、行軍を成し遂げました。この快挙は、日露戦争を間近に控えて、一方の青森歩兵第5連隊の八甲田山での遭難が世に出るのを恐れた軍部に封印されました。このことは、後に新田次郎の小説で有名となりました。
 その後、泰蔵は日露戦争に派遣され、明治38年(1905)に戦死しました。遺言により、故郷平塚の利根川河畔に墓が建てられました。

平成19年3月 例幣使道まちづくり会議

 

 

福島泰蔵大尉とは、近代において世界最大級となる山岳遭難事故の「八甲田山雪中行軍遭難事件」を基に制作された1977(昭和52)年の映画『八甲田山』で、高倉健さんが演じた「徳島大尉」のモデルとなった人物です。

 

「八甲田山雪中行軍遭難事件」は、青森歩兵第5連隊の210名中199名が雪中行軍で亡くなるという大変大きな山岳遭難事故でしたが、それと時期を同じくして行われていたのが福島大尉率いる弘前第31連隊の雪中行軍でした。

弘前歩兵31連隊は、隊員37名と従軍記者1名の計38名、弘前〜十和田湖〜三本木(現・十和田市)〜田代〜青森〜浪岡〜弘前の約220kmを11泊12日の予定で1月20日に出発。

一方、青森歩兵第5連隊は片道約20kmの青森〜田代を1泊2日で往復する予定で1月23日に青森を出発しましたが、途中で 天候が悪化したことがきっかけで遭難事故が発生してしまいました。

 

近年では様々な証言や資料の存在が明らかになり、多くの人が八甲田山雪中行軍遭難事件について知るきっかけとなった映画『八甲田山』の内容は史実と異なることや、美談となっている弘前第31連隊の生還の裏には批判されて然る行動が隠されていたことなども伝わってくるようになりましたが、まだ多くの謎や疑問が残されています。

そうしたこともあり、青森歩兵第5連隊の遭難や雪中行軍についての詳細は割愛させていただきますが、青森歩兵第5連隊と弘前第31連隊それぞれの違いについて簡単に記してみました。

 

【青森歩兵第5連隊】

青森歩兵第5連隊は、「冬のロシア軍侵攻で列車が普通となった場合の人力ソリでの物資の運搬に関する調査」を目的に、出発する前に予備行軍で下見し、当時の状況で1泊2日で往復可能と計画、参加人数も多かったため食糧などの荷物を14台のソリで引いて運ぶこととしましたが、寒波の襲来や服装や足元の防寒・防水対策の乏しさ、雪中行軍に関する認識や情報の不足、人数の多さや指揮系統の混乱により統率を保てなくなったこと、さらには地理に詳しい地元の人のアドバイスや案内を断るなど、冬山での行軍に対する慢心が遭難へと繋がったとされています。

 

【弘前第31連隊】

対する福島大尉率いる弘前第31連隊は、全12日・220kmという長大な行程でしたが、目的が3年がかりで行っている「雪 中行軍に関する服装・行軍方法などの研究」の最終段階で、過去に演習の経験があったこと、事前にルート上の役所などに食糧や寝具、案内人を現地調達できるよう依頼、冬の雪山に入るマタギなどから防寒対策へのアドバイスを受け準備をしていたほか、隊員の選抜には出身地や素質を考慮、人数を絞ることで統率を保ち続けたことに加え、行軍中は麻縄で1列に結んで隊員の遅れや遭難を事前に防いでいたこと、天候不順時には無理に動かず案内人を頼ったことなど、入念な準備と意識の高さが全員が無事に帰還できたことに繋がったとされています。

 

この同時期に行われた雪中行軍で運命が大きく分かれたことは、120年以上経った今も登山・雪山での安全について学ぶ上での教訓となっているだけでなく、様々な分野での危機管理などの参考とされ、多くの方が研究を続けています。

 

天人寺付近から見える上武大橋 
天人寺付近からの上流側の眺め 

福島大尉は雪中行軍を終えた3年後、従軍していた日露戦争で38歳の若さで戦死、遺言により、故郷・平塚にある利根川沿いの天人寺にお墓が建てられました。

群馬県南部では寒波が訪れてもこの時の八甲田のような大雪や暴風雪となる機会はほとんどありませんが、こうした教訓が残されたことに触れて、いつ発生するかわからない自然災害への認識と備えの大切さを再確認するきっかけに繋がるといいですね。

 

 

『福島泰蔵大尉の墓』 伊勢崎市境平塚(天人寺)

 

取材:2023年1月 Co-ラボisesaki・伊勢崎まちなか探訪研究員

 

 

 

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ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際の内容等について取材後に変更されている場合もありますので、お出かけ前に最新情報をご確認いただくことをおすすめします。また、記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)



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