今回のいせさきふらっと観光は、上田町にある伊勢崎市指定天然記念物『湧水あまが池』をご紹介したいと思います♪ 『湧水あまが池』は、伊勢崎インターチェンジから東へ1キロ少々、県道293号線沿いに設置された案内板を目印に脇道に入ったところに、誰かのおうちのお庭であるかのようにさりげなくあります。 パッと見で気付く場所に看板がなく、池は道より少し低い位置にあるので、見逃してしまって通り過ぎてしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、『あまが池』に辿り着くと、すぐ近くに高速道路が通る風景とのギャップには不思議さを感じることでしょう。
伊勢崎市のHPによると、この『あまが池』には言い伝えがあり、この池に向かい、「あま」と呼べばその声に答えてあぶくが湧く、とのこと。 …で、もちろん、筆者も試してみましたよ〜(笑)! 近隣に一般の方のお住まいもあるので、あまり大きな声は出さず、池のほとりから「あま!」と呼びかけてみると、すぐ近くの水面にあぶくがぶくぶく。 本当にあぶくが湧くことにびっくりして、もう一度「あま!」と呼んでみたら、今度はちょっと離れたところにあぶくがぶくぶく…そしてなぜか、数匹の黒く大きな鯉がこちらに向かって泳いできました。 まさか鯉がいるとは思っていなかったので、それもまたびっくり(笑)
「手を打てば はいと答える 鳥逃げる 鯉は集まる 猿沢の池」の和歌ではありませんが、あまが池では、手を打つ代わりに「あま」の呼びかけで鯉が餌を求めて集まってくるのかもしれませんね(笑) この『湧水あまが池』は、環境省の群馬県の代表的な湧水にもリストアップされており、伊勢崎市では他に、三和町の『男井戸(おいど)』がリストに入っています。 あまが池があるのは大間々扇状地と呼ばれる扇状地形の扇端部分となるエリアで、渡良瀬川として流れていた水が地下に流れて伏流となり、それが扇端で湧き出すことでこのような湧水となりますが、この扇端が広がるエリアでは、あまが池以外にも多くの湧水が存在しています。 以前、アイマップでも取り上げた『掛矢清水』もこの大間々扇状地の扇端にあたり、古くからこうした水資源に恵まれていたこの地域は、湧水が人を集め、暮らしを豊かにし、多くの古墳や遺跡、東山道のような街道が築かれ、栄えていたこともうなずけそうですね。 このあまが池、柳田國男の『日本の伝説』という本にも他の同じような湧水の言い伝えと共に書かれているほどの場所ですが、湧水なので見ていれば水が動いて泡が上がることもあるだろうけれど、「呼ぶと呼ばぬとで湧いたり止まったりすることが奇妙」とあり、もしかするとその“奇妙なこと”がなければ、人々にぞんざいに扱われ、こうして現代まで大切に残されることはなかったかもしれません。 皆さんもあまが池のほとりで「あま」と呼び、長い年月をかけて自然が作りだした伊勢崎の地形や、この湧水の旅の軌跡について思いを馳せてみてはいかがでしょうか? 『湧水あまが池』 伊勢崎市上田町 取材:2018年4月 Co-ラボisesaki・伊勢崎まちなか探訪研究員
Co-ラボisesakiでは、“「アナタの楽しい」を「ミンナの楽しい」に!”をキーワードに、様々な思い(研究)を、同じ思いを持った皆さん(研究員)と共に、共有すること(研究室)で形にしていくお手伝いをしています。 その中のひとつ、「Co-ラボisesaki・伊勢崎まちなか探訪研究室」では、伊勢崎のまちの魅力を研究し、より多くの方に訪れていただけるよう発信しています。 ※ご注意:本記事は上記の日付をもとに作成しています。実際の内容等について取材後に変更されている場合もありますので、お出かけ前に最新情報をご確認いただくことをおすすめします。また、記事と情報が異なる場合、imapは一切責任を負いませんのでご了承下さい。(記事と情報が異なる場合もありますので ご了承下さい。)
『いせさきふらっと観光』 from Co-ラボisesaki・伊勢崎まちなか探訪研究室